前回のコメ返しでチラッと触れた、ロケーションのキーワードについてのお話です。ここで言うロケーションは単に場所って意味じゃなくて、SKYRIMにおける同一の特性を持った場所(セル)のグループって意味です。
例えば「BleakFallsBarrowLocation」の場合(実際のCKの画面じゃなくて必要な部分だけ切り貼りしたものです)
ブリーク・フォール墓地の内部セル(ブリーク・フォール聖堂、ブリーク・フォール聖域)の他に、墓地外周の屋外セルも含めてBleakFallsBarrowLocationになっております。また、キーワードから「ノルド遺跡」「クリア可能」「ドラウグル地下墓地」「ダンジョン」である事が分かります。
このキーワードは検索用に付けられてる訳ではなくて、ランダム目的地のクエストで目的地を決定するためなどに使われています。例えば純合金の指輪の場合はこんな感じ。
「クエスト提供者在住ホールドのボスチェストがある洞窟から選んでね。吸血鬼の住処、ドワーフオートマトン、巨人の野営地、ドラゴンプリーストの住処、ファルマーの巣、ハグレイヴンの巣といったキーワードが付いたロケーションは除外してね。」という設定がされています。
目的地を決定してるのはStoryManager(※)です。キーワードによってロケーションの概要をStoryManagerに伝え、目的地がランダムでもクエストの内容やアクターの台詞と整合性がとれるようになってるんですね。(※ StoryManager = ゲーム中のあらゆる出来事を察知し、どんなランダムクエストを起こすか、どのアクターにどんな役割をさせるか等を決めるシステム。裸でウロウロしてたら怒られるのも、雇いの悪漢を差し向けられるのも、カルジョのアミュレットがソルスセイムにあるのもコイツのせい。)
ついでに、スーさんを洞窟に連れていくと寒いって文句言ったり、廃墟になった砦を見てはカーチャンを思い出したりするのもロケーションに付いてるキーワードが条件になっています。
というわけで、ロケーションに付いてるキーワードはその場所の概要を表しているってことがお分かりいただけたかと思いますが、それを踏まえたうえでこちらをご覧ください。
ドラゴンプリーストの住処であることを表す'LocTypeDragonPriestLair'というキーワードを使用しているクエストとロケーションの一覧(DLC除く)です。
まずクエストを上から順に説明しますと、MGRitual05は変性の達人魔法のクエストで「'LocTypeDragonPriestLair'が付いてるロケーションのボスチェストにカホヴォゼインを湧かせてね」みたいな感じで使用されています。FreeFormShipsDawnstar(上等な虚無の塩)、Favor158(ウィンターホールドの兜)、Favor205(純合金の指輪やノスターの兜など)、FavorOrcIntro(鍛冶の巨匠の指)は「'LocTypeDragonPriestLair'が付いてるロケーションは目的地に選ばないでね」、DA10はモラグ・バルのクエストで「頑固なログロルフを 'LocTypeDragonPriestLair'が付いてるロケーションに湧かせないでね」といった具合です。本当はもっと色々条件付いてるけど割愛。
そしてロケーションの方はヴァルスム、ヴォルスキーグ、スクルダフンと、ドラゴンプリーストが待ち構える竜教団の遺跡がずらずらと並んでおりますが…ここに何故かKilkreathRuinsLocation(キルクリースの遺跡)が混入してるんですよね…。メリディア様…?あなた竜教団と関係ないでしょ?ないよね?
なんで竜教団と関係ないはずのキルクリース遺跡がドラプリの住処になっているんでしょうか。最初はノスターの兜やモラグ・バルのクエストなどで目的地に選ばれるのを回避するために適当なキーワード付けただけかなって思ったんですが、それらクエストの目的地は「'LocSetCave'のキーワードを含む」や「ボスチェストがある」などの条件があり、わざわざ'LocTypeDragonPriestLair'を付けなくてもキルクリースの遺跡が条件を満たすことはありません。じゃあカホヴォゼインの在処に選ばれるために付けたのかと思えば、そちらもボスチェストがないため条件を満たせません。
別に立派な宝箱じゃなくても、中身がゴミでも、BossContainerに設定されてさえいればシャウラスの卵嚢だろうが焼けた死体だろうがダンジョン入って2秒で到達しようがボスチェストです。ものすごい高価なお宝が詰まった箱がずらーっと並んでいても、BossContainerに設定されていなければStoryManagerはボスチェストと認識してくれません。そしてKilkreathRuinsLocationにはBossContainerはひとつもありません。
あ、そういえばメリディア像のそばに言葉の壁があったな。もしや「どこそこで力の源をみつけて来い」って手紙のクエストで使うのかな?と思いきや、そちらはキーワードとはまた違った方法で目的地を選んでるので'LocTypeDragonPriestLair'は必要ありません。
なんでキルクリースの遺跡がドラプリの住処なんだろう…。ドラプリなんか居ないのに…。と思いつつKilkreathRuinsLocationに紐付いてるアクター一覧を眺めてたら…
DA09はメリディア様のクエスト『夜明け』の接頭辞です。キルクリースの遺跡にはDA09を名に冠したドラプリがいるってことですよ。えーでもメリディア様のクエストやったことあるけどドラプリなんか出てきたかなぁ…。そこでDA09DragonPriestRefを調べてみたところ、このIDを持つアクターはマルコランであることが発覚しました。…わけがわからないよ。
もちろんマルコランはドラプリではありません。PCのレベルで変動するキャラクターではありますが、どのレベルで出会ってもブレトン男性のネクロマンサーの姿で現れます。また、マルコランの影の方もドラプリではありません。声やクラス、戦闘スタイル、ドロップアイテムはドラプリと同じものが使われていますが、種族はSkeletonNecroPriestRaceです。TextDataは「ドラゴン・プリースト」となっていますが、ギレボルらSnowElfRaceもハイエルフと全く同じになってますし、プレイアブル種族以外のTextDataは無視していいかなって思います。
しかしマルコランにDA09DragonPriestRefというIDが与えられて、彼の居場所にDragonPriestLairというキーワードが付いてる以上、元々はDA09(メリディアクエ)にドラプリにまつわるなんやかんやが盛り込まれる構想があったのかなぁ…って妄想が膨らみますね!
マルコランは太古の失われた秘術を解明してドラプリと同じ方法でリッチになったのかな、とか。キルクリース聖堂は元は竜教団の施設で(LocSetNordicRuinsってキーワードも付いてるし)、教団崩壊後にメリディア信者が居抜きで入ってきたのかな。ドラプリの棺が安置されてたけど蘇ったりしないようにメリディア信者が厳重に管理してたのかな。でも信者がいなくなっちゃったからドラプリが目覚めて、それをマルコランが利用したりしてたのかな。ファレンガーの動画では「ドラプリが蘇ったら惨事になるから、不完全な状態で叩き起こして灰にして二度と目覚めないようにしよう」って感じで退治してますが、「ドラプリの強大な力を利用するために目覚めさせよう」って考える悪い死霊術師とかがいてもいいと思うんですよ。
残念ながら実際のゲーム中にはKilkreathRuinsLocationのLocTypeDragonPriestLairってキーワードが活用される機会はなく、マルコランのDA09DragonPriestRefも名前だけですが、こういった残骸だけでも残ってるとなんだかワクワクしますねー。
ところで、KilkreathRuinsLocationにはキーワードの他にももう一つ気になることがあります。上の画像(ドラプリいたよー!!のやつ)のアクター一覧の下の方、Forswornがいるのが分かりますでしょうか。キルクリース聖堂内には帝国兵やストクロ兵の死体や影が大勢いましたが、フォースウォーンは見た覚えないんですよねぇ…。なんでここにフォースウォーンが載ってるの?と思ってKilkreathRuinsLocationを構成するセル一覧を見てみると…
キルクリース聖堂や地下墓地などの内部セル(KilkreathRuins01~03)、メリディア像周辺の屋外セル(KilkreathRuinsExterior01~05)に混ざって、カーススパイアやスカイヘイヴン聖堂の名前がちらほらと…。具体的にはカーススパイア野営地からスカイヘイヴン聖堂に到る間の洞窟内がKilkreathRuinsLocationに含まれていました。こんなのぜったいおかしいよ…。親ロケーションはハーフィンガルだし地理的にもクエスト的にも何も繋がりないじゃない…。ちゃんとKarthspireLocationっていうのがあるのに、頭文字が一緒だから間違えちゃったのかなぁ。
理由は全く分かりませんが、カーススパイアがKilkreathRuinsLocationに入れられたせいであの洞窟内でローカルマップを開くと「キルクリースの遺跡」と表示されてしまいます。
メインクエもいいけど灯のことも忘れないでねっていう、メリディア様の熱いメッセージなのかもしれません。
まじ節操ないなあのデイドラ。
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