大掃除してる最中に古い雑誌とかアルバム見つけてうっかり読みふけっちゃう事ってありますよね。去年の今頃、このブログの引っ越し中もそんな感じで度々手が止まってたんですが、中でも特に気になったのがこちらのコメント。
俺、カリクストが殺す前に後ろから斬り殺しちゃったわw04:12殺される直前の犠牲者が悲鳴をあげた瞬間にカリクストの不死設定解除されてTownWindhelmFactionとCrimeFactionEastmarchが外れる(=衛兵に咎められなくなる)のでかなりタイミングがシビアなうえに悲鳴をあげるのはルアフィンが犠牲者の時だけっていう。 【訂正:犠牲者がアリバンヤの時も悲鳴をあげます。詳細は氷上の血のあれこれにて。】
未完成としか思えないくらい穴だらけのクエストなのでこれもそんな穴の一つだろうと思ってたんですが、もしかしたら意図的なものなんでしょうか。つまり、カリクストを殺して犯行を阻止するルートがちゃんとあったのでは?というわけで、最後の犠牲者が出る前にカリクストを殺せるタイミングが他にもないか探してみました。
カリクストはアクター設定上は不死ではありませんが、「MS11PreEssentializing」というクエストのエイリアス(役柄)に割り当てられる事によって不死属性が付与されます。この「MS11PreEssentializing」はゲームスタート時に自動的に開始されるクエストで、カリクスト同様ヘルグリッド、シルダ、ヨルレイフ、スザンナ、ウーンファースにも不死属性付きエイリアスが割り当てられます。「氷上の血(MS11)」開始前に主要人物が不慮の事故等で死なないようにするための措置でしょうか。未来の記憶を持ったドバキンがスザンナを救うためにヘルゲン脱出後真っ先にカリクストを殺そうとしてもダイバージェンス1%の壁は超えられないってことですね。「MS11PreEssentializing」は「氷上の血」開始時に終了しますが、カリクストは「氷上の血」でも新たに不死エイリアスを与えられます。スザンナは救えなかったけどさっさと犯人殺して事件に終止符を…みたいなこともできないみたいです。
「氷上の血」においてカリクストは一人で三つの役柄を兼任しています。
- Witness2:不死属性。目撃者としてヘルグリッドやシルダと共に事件現場にたむろする役。
- Calixto:真犯人としてFinalVictim役のアクター(アリバンヤまたは三人目の犠牲者)を夜通し尾行したり犯行に及んだりする役。
- CalixtoEssential:不死属性。たぶん不死にするためだけのエイリアス。
役割を終えればクエストの最中であってもエイリアスが外れる事もあります。カリクストの場合はWitness2とCalixtoEssentialが外れれば不死属性も解除されそうですね。
まずWitness2が外れるタイミングは以下のいずれかです。
- Stage40:執政に協力を申し出る事で到達。クエスト目標「犯行現場を調べる」が表示された時。
- Stage50:目撃者達の証言を聞きヒジェリムに近づく事で到達。クエスト目標「ヒジェリムに近づく」が表示された時。
- Stage120:ウーンファースに「次の犯行は明晩」って言われたら到達。クエスト目標「夜に石地区の道を見回りする」が表示された時。
- 市場での犯行シーンの最中。(詳細は後ほど)
- Stage130:市場での犯行シーン完了で到達。クエスト目標「犯人を追う」が表示された時。
ところで今ほど「Stage130に至るには犯行シーン完了が必須」と書きましたが、開発段階では別の経路でStage130に至る方法もあったようです。
没データも興味深いですが話を戻します。カリクストの不死属性は市場での犯行シーンの最中に全て解除されるってことが分かりました。結局ここまで待たないとカリクストを殺す機会は巡ってこないのかぁ。
ところでこの犯行シーン、ウーンファースが「次の犯行は明晩」って言ってたにもかかわらず当日の昼日中に始まって「話が違うじゃねぇか!」ってなることありませんか?一体何がきっかけで始まるのか探してみたところ、SetupStakeoutって関数で開始させてるみたいです。SetupStakeoutはStage120になった時に発動して以下の処理を実行します。
- カリクストの持ち物に奇妙なアミュレットがあればそれを削除して代わりに死霊術師のアミュレットを加える。
- FinalVictim役オーディション。アリバンヤが生きていれば彼女に、そうでなければ条件を満たすNPCからランダムに決定。
- 市場での犯行シーンをスタート。
Stage120っていったらウーンファースと話してクエスト目標「夜に石地区の道を見回りする」が出た時です。その時点で犯行シーンはもう始まってるんですね。ウーンファースの予想を的中させてあげるには23時頃に話しかけてやれば…いや面倒くせぇわ!
あとStage120ではFinalVictim役(アリバンヤか第三の犠牲者)は「20時から翌8時まで石地区を歩き回る」、Calixto役(もちろんカリクスト)は「FinalVictim役を尾行する」ってパッケージを実行するはずだったんですが、犯行シーンが即座に開始してしまうせいでせっかく設定したパッケージも活きてなさそうです。これがちゃんと実行されていれば犯行も夜にできたんじゃないかなぁ…。
ウーンファースの面目も保てたんじゃないかなぁ…。
さて、SKYRIMには他のゲームによくある挿入ムービーみたいなものは無いので、NPC同士の会話やお芝居は「クエスト中のシーン」として再生されます。市場での犯行シーンは正式名称「MS11CalixtoAttackLastVictim」っていいます。MS11CalixtoAttackLastVictim(長いのでまた“犯行シーン”って呼びます)は二人の出演者(FinalVictim役とCalixto役)と五つのフェイズで構成されています。
シーン中のフェイズにも開始と終了に条件を付けることができます。終了条件を満たすか、フェイズ中のアクションを全て完了すれば次のフェイズに進めます。犯行シーンの各フェイズの詳細は以下の通りです。
- フェイズ1
FinalVictim役:A地点まで移動する
Calixto役:B地点まで移動する
終了条件:両者のアクションの完了 - フェイズ2
FinalVictim役:A地点で待機
Calixto役:B地点で待機
終了条件:プレイヤーがMurderZone内にいること - フェイズ3
開始時にカリクストの不死属性と一般市民Factionを外す
FinalVictim役:台詞「ああ、誰か助けて!お願い!」(ボイスタイプがFemaleEvenTonedの場合のみ)
Calixto役:武器を抜いてC地点まで移動する
終了条件:両者のアクションの完了 - フェイズ4
終了条件:フェイズ4開始から5秒間経過する - フェイズ5
開始時にCalixto役がFinalVictim役にスニークキルムーブ(キルムーブ失敗してもFinalVictim役は必ず死ぬ)
終了条件:FinalVictim役の死亡
犯行シーンが開始するとFinalVictim役に選ばれたアクターとカリクストは仕事中だろうが就寝中だろうが全てのパッケージを中断して所定の位置に向かい、到着したらフェイズ2の終了条件を満たすまで待機します。終了条件にあるMurderZoneっていうのは上の画像の緑色の枠内です。要はプレイヤーが犯行現場に近づかないとフェイズ3に進まないってことですね。フェイズ2ではまだカリクストは不死なので、離れた場所から攻撃したり誰かをけしかけて殺そうとしても駄目みたいです。
ただし、犯行シーンはFinalVictim役またはCalixto役いずれかの死亡で強制終了してStage130へ移行してしまうので、不死属性を持たないFinalVictim役が所定の位置に向かう途中に事故で死んだりPCに殺されたとしても「完了:夜に石地区の道を見回りする → 犯人を追う」ってなります。カリクストのせいじゃないのに。
犯人はここにいるぞ!
それはさておき、順当に進めば市場に役者とプレイヤーが揃ったところでカリクストが武器を抜き最後の犠牲者ににじり寄る(=フェイズ3)わけですが、殺害の瞬間(=フェイズ5)に至るまでに5秒間の猶予(=フェイズ4)があるのが興味深いですね。これはつまり冒頭で引用したコメント「カリクストが殺す前に後ろから斬り殺しちゃった」っていうのはバグでも仕様の穴でも何でもなく、FinalVictim役を救うために作者が意図的に与えた唯一のチャンスだったってことですよ!すごいな!
SKYRIMのバグ代表格の「氷上の血」ですが、カリクストを殺して犯行を阻止するルートはちゃんと用意されていて正しく機能していたんですね。中途半端なままリリースするぐらいなら没にすればいいのにと思う一方で、没要素をほじくり返しては「何で実装せんかったん?もったいなーい!」って騒ぐ自分のモンカスぶりに若干引いたりもしますが、それも含めてSKYRIMを楽しんでいるということで見逃してください。というわけで長くなりましたが今回はここまで。お付き合いいただきありがとうございました。
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