2018/08/26

錬金術師はどこへ消えた?

第92夜でエバーグリーンの森に行った時、「この錬金術師は錬金術師の小屋の主」「いや錬金術師の死体そこらじゅうにあるし」ってやりとりがありまして、なんか面白そうだったから調べてみました。

さて、ここで死んでる錬金術師がリフトの錬金術師の小屋の主っていうのは『錬金術師の日記』のタイトルとモデルが一緒でキノコについて言及があるからってことですかね?でも小屋の方の日記では「そろそろ食糧が尽きそうだから午後からはキノコ採りに行こうかな」って感じだけど、午後からぷらっとキャンプ道具一式背負ってリフトから山越えてずっと西のエバーグリーンの森まで行くの…?錬金術師の小屋周辺の植物や土壌を絶賛してたのにキノコ林にテント張って腰を据えてキノコとニルンルートの調査するの…?そもそも食糧採集に来たんじゃなかったの…?たとえ錬金術師の死体がエバーグリーンの森にしかなかったとしても錬金術師の小屋と関係してるとは思えないなぁ。というわけでうちのSKYRIMでは別件ですねー。ゲーム中に確認できること以外にも理由がありまして…


上段が錬金術師の小屋の日記、下段がキノコ林の日記です。EditorIDからして二つの日記はそれぞれ別の人が作ったんだろうなって思うんですよ。作者が同じなら「dunPOIPineForestRyan○○Journal」とか 「DunPoi○○Journal」とかになるんじゃないかなって。dunPOI○○は屋外の、俗にいうフィールドマップを示す接頭辞(だと思う)で、その後にFallForestとかTundraとかがあれば大体どの辺か分かるようになってます。dunPOI表記で統一されてるもんだと思ってたけどDunPoiって書く人もいるんですね。初めて見たわ…と思ったらそれもそのはず、DunPoi表記のオブジェクトはこれと『狩人の日記』(DunPoiHuntersJournal)だけでした。あったじゃんDunPoi○○Journal!これはDunPoiAlchemistsJournalと同作者っぽいなぁ。どこにあるんだろう?

次回行くクラックスタスクキープやハルディールの石塚の近くに無人のキャンプがあり、そこに置かれていました。キノコ林と同じファルクリース、日記のそばにスキルブックが置いてあるのも一緒ですね。因みに日記の内容はこんな感じ。

“今日、クマの小さなねぐらを見つけ出した。クマたちの生皮の状態は良好なので高く売れるはずだ。今夜はテントを張り、あの獣たちは朝になったら仕留めるつもりだ。残りの数本の矢でどうにか仕留められるといいのだが。そうでないと刃を頼りにしなくてはならなくなるかもしれない。”

そういえば肝心の狩人は?と思って辺りをうろうろしてみたら…

クマのねぐらで狩人2名の遺体を発見しました。裸になっているのは偶々なので気にしないでください。傍らに剣が落ちていたことから、刃を頼りにしなくてはならない状況に陥り敢え無く…といった感じでしょうか。そして日記の近くで持ち主が亡くなっている点もキノコ林と同じですね。

今度はリフトの錬金術師の小屋の方を見てみましょう。この小屋の『錬金術師の日記』は dunPOIFallForestRyan01Journal っていう少し変わったEditorIDを付けられています。Ryanは作者の名前かな?って思ってクレジット見てみたら開発陣にRyanさん5人もいるのな!どのRyanさんかは分からないけど、EditorIDにRyanを含むオブジェクトは以下のみっつ。

POIFallForestRyanTreasureNoteはニルヘイム近くの中洲でお宝掘ってるトレジャーハンターのメモ、POIFallForestRyanTrollNoteはイヴァルステッド近くのトロールの巣で死んでるストクロ兵のメモです。三つともリフトですね。しかし、メモ二つは持ち主が近くにいるのに日記はそれらしきアクターがいない点、01ってことは続きがあるんじゃないの?って点が気になりますねぇ…。小屋の錬金術師は死体じゃなくてどっかで生きてるんじゃないかとも思いましたが、錬金術師という名のアクターは前回(墓92)挙げた2種6人のみ、全員死体です。日記の続きにあたりそうなノートもメモも見付かりませんでした。たまに見かける薬剤師のかばん&骨という形でどこかに配置されているのかもしれませんが、薬剤師のかばんは3種107個(DLC除く)、骨にいたっては数えきれないくらいあるのでご勘弁を。結局小屋の錬金術師の行方は分からず仕舞いですね。


ところで、キノコ林のキャンプには第93夜冒頭で行くんですが、そこでも同じコメントの応酬がありました。SKYRIM動画のコメントに限らず非常によくある話だと思うんですが、こういう確信的でソースの明示がない話って大体どっかの受け売りなんですよね。たかだかニコニコ動画の匿名コメントに責任を持つ必要は別にないと思うのでそこは然して気にならないんですが、話の出所がどこなのかちょっと気になったので調べてみました。

で、初出かどうかは分かりませんがUESPwikiの 錬金術師の小屋のトークページ (2018/08/25閲覧)にこんなのがありました。

ここに住んでた錬金術師は死んでいる。
私は荒野(たしかこの小屋の東だったと思う)である死体を発見した。その名も“錬金術師”。 25 November 2011

彼の日記にはキノコ研究のために出掛ける旨が記されている。エバーグリーンの森上流には錬金術師のキャンプとキノコについて言及した別の日記があり、彼はニルンルートが環境に及ぼす影響について調べるために下流へたどる予定であることがわかるだろう。エバーグリーンの森の池の真ん中でこの錬金術師の死体を見付けることができる。 27 November 2011

うーん…エバーグリーンの森ってヘルゲンとかリバーウッドのずっと西、つまり錬金術師の小屋のめちゃくちゃ西でしょ?山ひとつ越えるよ?でもまぁこの小屋のより近くに錬金術師の死体が見付からない限りはそうなんだろうな。キノコについての言及が決定打になるんじゃないかな。 27 December 2011

錬金術師の小屋と錬金術師のキャンプは絶対関連がある。2冊の日記の類似性からしてエバーグリーンの森で死んでる錬金術師はこの小屋に住んでたNPCに違いない。これが偶然だとしたらあまりにも出来過ぎじゃない? 5 June 2012

2011年11月、SKYRIMリリース直後のトピックです。たぶん錬金術師の死体を初めて見て「これは大発見だ!」って思ったんじゃないかなぁ。二番目のポスト、小屋の日記はキノコの研究じゃなくて食糧採取のために出掛けたんじゃなかったっけ?三番目、やっぱり山越えてるの気になるよねぇ。そんで最後、関連があるって確信するほど2冊の日記似てるかなぁ。キノコが出てくるのは共通してるけど片や食糧、片や研究対象ですよね?

そしてこの件に関する最新のトピックはこちら。

注釈を削除しました
この頁の注釈に、錬金術師の小屋の主とエバーグリーンの森でキャンプしていた錬金術師の死体が同一人物であるとの記載がありました。これら二人の錬金術師に関連性があるという動かぬ証拠はないので決定的ではありませんし、小屋とキャンプにある様々な物のFormIDが完全に異なる(2冊の日記が最も顕著)という事実はこの二者間に意図的な繋がりがないことを示しています。このトークページの最初にある主張とは対照的に、私はこの2冊の日記の文体に多くの類似性があるとは思えません。
一方はポイント形式のような(ごめんなさいよく分からなかったです。箇条書き風ってこと?)傾向があるが、他方は完全な文章に終始している。
一方は形式ばった言い回しを使うが、他方はそうでもない。
一方は"heading out"というフレーズを使うが、他方は"journey out"を使う。
キノコの繋がりもまた、私にとっては関連性を感じられません。小屋の錬金術師は備蓄が残り少なくなってきたのでキノコを採集すると語りますが、もう一方の錬金術師はこの周辺のキノコが普通より大きいため近隣の生態系にどのような影響を及ぼしているかを研究していると語ります。両者の目的は全く異なるもののように感じます。
とはいえ今のところ彼らが同一人物でないという決定的な証拠もありません。しかし一般論としてUESPに憶測を記載することはできないので、証拠不十分として当該の注釈を削除しました。もし誰かが私の知るより強い関連性を示すことができるのであれば、私はその情報の記載が復元されることに異論はありません。 2 May 2018

2018年5月って、つい最近まで不確かな情報がさも事実であるかのように記載されていたんですね…。錬金術師の小屋の頁の編集履歴を見てみたら、2016年1月頃からずっと “ One can find the continuation of his adventure at the Alchemist's Camp, and the alchemist himself at Evergreen Grove. ” って載ってたみたいです(履歴の見方よく分かんないんで勘違いしてたらごめんなさい)。この頁やここから転載された日本語サイトを見た純粋無垢な人たちが信じてしまったんでしょうね。日本語サイトだとSKYRIM用語集の錬金術師の小屋の頁、2012年10月の書き込みに似たようなものがありましたが、こちらはちゃんと「おそらく~~と思われる」って感じで推論だよって分かるように書いてありました。それでも早合点しちゃう人はいるだろうけど…。結局「アニスとモイラは姉妹(確定)」と同じやつでしたねー。こないだも書いたけど「うちのSKYRIMではそういう設定だから!」なら面白いと思う!

ところで上のトピック、英語版の文体の違いは私が見たところで微塵も理解できなかったんですが、FormIDに注目したって点がすごく興味深いですね。EditorIDしか気にしてなかった!じゃあさっそくFormID見てみよう!


まずキノコ林のキャンプ。キャンプファイア、テント、寝袋と始まって薬剤師のかばん、木箱、袋までFormIDがほぼ連番になっています。そしてエバーグリーンの森で死んでる錬金術師のFormID(RefID)は99804です。一方錬金術師の小屋は錬金器具から始まって柱や屋根、植物、小屋内の家具や小物などを経て『錬金術師の日記』までほぼ連番になっています。キノコ林の日記はベースのIDが3A523でセル上に配置されたものが3A539。小屋の日記はベースがCE5BDで設置されたものがCE5BE。二つの日記は作成された時期も設置された時期も別々みたいですね。しかしキノコ林のキャンプ一式と日記のIDもかけ離れてるのが気になります。3A5xxで探してみたらフォーレルホストの内装がずらずら出てくるけど…うーん…。分かんないや。一方錬金術師の小屋に設置された物のIDはCE5xxなので、これで検索すればたとえ住人が骨になっていようが見付けることができるかもしれません。というわけで近くを探した結果がこちら。


錬金術師は見付からなかったけど、小屋よりもうちょっとイヴァルステッドの方に行くと木こり(死体)のキャンプがありました。


散らかり具合がめっちゃこだわり感じますね!この木こり(dunPOITreasCorpseLumberjack)のベースIDはCE5D0。ここ用に新規作成されたアクターみたいです。

まだ燻ぶる焚き火に生々しい鮮血。亡くなって間もないように見えますが、テントに小銭入れが転がっていることから物盗りの犯行ではなさそうです。また、近くに肉食獣などの敵性アクターは設置されておらず死因はハッキリしません。キャンプの隣のセルには伐り倒された木とゲーム中は見えない斧があり、IDを見るにこれらはキャンプと同時期に設置された物のようです。

元々は伐採時の事故で亡くなったって設定だったのかな?斧はこのセルにある何かのインベントリに湧く予定だったみたいですが、【2018/10/24 追記】別にそうでもなさそうでしたスミマセン【追記ここまで】何に湧くのかは設定されておりませんでした。そもそもこのセルにインベントリがあるオブジェクトがないし…。

引き続きFormIDがCE5xxの物を探しましたが、木こりのキャンプの次は同じく秋の森にある山賊のねぐらが設置されたみたいです。以降のIDの繋がりは以下の通り。

POIFallForest05(山賊のねぐらになってる廃屋)5F2~624
POIFallForest06(ダークライトタワー上のノルド遺跡)625~64B
POIFallForest30(狩人のキャンプ)617~621

リフト内で次々別件に取り掛かっていったようですが、小屋の錬金術師の行方は杳として知れず。この間新規作成されたオブジェクトは山賊のねぐらで飼われてる犬(EncBanditDogAggro1024)だけのようです。そしてCE6xxはこれ以降ジョルバスクルの内装になります。錬金術師の小屋より若いIDも見てみましたが、錬金器具(CE557)のひとつ前はホワイトランの荒野、ステンダールの祠周囲の霧エフェクト(CE556)。他のCE5xx、CE4xxもホワイトランの草木や岩などの自然物でした。

というわけで残念ながら、セル上に配置された物のIDをもってしても小屋の錬金術師らしき骨も遺留品も私には見付けられませんでした。無念…。

でも、こういう明確な設定のないロケーションがあるおかげで妄想を膨らませて楽しんだり、RPの拠りどころにしたり、MODキャラの住居にしたりってことができるんですよね。プレイヤー各々が自由できる余地がいっぱいあるのがSKYRIMの大好きなところです!

長話にお付き合いいただきありがとうございました!

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